睡眠薬による副作用とは?

睡眠薬が果たす役割とはどんなものか?

眠りたいのに眠れない、眠らなくてはと思えば思うほど眠れなくなるというのは、とても辛いことです。そんな時、睡眠薬を使用すればスムーズに眠りにつくことが可能になります。では、睡眠薬はどのような作用を持っているのでしょうか。

人間の脳内には神経伝達物質(セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリン、アセチルコリン、グルタミン酸など)がありますが、これらの物質のバランスが崩れたり、伝達がうまくできなくなったりすると、不眠や不安、うつ、情緒不安定などの症状が現れることがあります。睡眠薬は神経伝達物質に作用し、不眠などの症状を抑えてくれる効果を持っているのです。

現在処方されている睡眠薬の中では、ベンゾジアゼピン系と呼ばれるものが代表的なものとして知られています。この睡眠薬はノルアドレナリンやセロトニン、ドーパミンなどの神経の機能を抑える働きをしています。ノルアドレナリンは不安や意欲と深く関係している物質ですが、不安が強くなるとノルアドレナリンの働きも強くなり、血圧が上がったり動悸が激しくなったりことがあります。セロトニンは気分と深い関係にあり、うつ病などになると脳内のセロトニンが少なくなっています。また、ドーパミンが適度に作用していると気分がよく、活動も活発になりますが、働きが強すぎると情緒不安定になったり、幻覚や妄想を起こすこともあります。
ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は、これらの神経物質の働きに作用し、不安や緊張感を抑えてくれるので、自然と眠れるようになります。

睡眠薬のメリットをまとめると、使用することで寝付きが良くなり、早いものでは10~15分で効果が出るとされています。また、薬を飲むことで「眠れない」というストレスから解放され、安心感が生まれることもメリットのひとつですね。

使用法を誤ると後遺症が残るほどの副作用もある

現在、広く使用されているベンゾジアゼピン系、非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は、安全性が高いといわれていますが、副作用などのデメリットが全くないわけではありません。不眠のストレスから解放されるメリットがある一方で、副作用や後遺症などのデメリットがあることも認識しておくべきでしょう。

〈睡眠薬のデメリット〉
◎寝起きが悪く日中、ぼんやりしてしまう
作用時間15〜28時間の中間タイプや36〜85時間の長時間タイプの薬を使用している場合、起きてからも効果が続いているために眠気が残ったり体がだるかったりすることがあります。効果が続くとスッキリと目覚めることができず、日中もぼんやりとしていることが多いようです。

◎ふらつきや脱力感を感じる事がある
睡眠薬の筋弛緩作用によって、体の足腰に力が入らず、ふらついたり脱力感を感じたりすることがあります。転倒や車の運転する際などは特に注意が必要です。

◎頭が重く、さらには倦怠感がある
睡眠薬の効果が起床後まで続く為、頭痛や倦怠感に襲われることがあります。

◎情緒不安定になる
薬の種類にもよりますが、不安や緊張、また攻撃的になることが稀にあります。

◎薬を止めたら症状が重くなる

睡眠薬を突然止めると、服用前よりも症状が重くなることがあります。止めるときは自己判断せず、医師の指示のもとで、少しずつ量を減らしていくようにしましょう。

〈睡眠薬の後遺症〉
昨今の睡眠薬には、重大な後遺症は殆どないといわれています。後遺障害が危険とされていたのは、バルビタール系の睡眠薬です。バルビタール系の睡眠薬は、耐性がつきやすいという特徴があり、段々と服用量を増やしてしまうケースが多発。いつの間にか致死量に達してしまうという大変危険な後遺症に発展しがちでした。また、依存症に陥り、止められなくなるという後遺症もありました。

しかし、現在使用されているベンゾジアゼピン系の睡眠薬は、大脳辺縁系の興奮を抑えることを主体としており、精神安定剤の一種なので効果が緩やかで安全です。とはいえ、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬であっても、副作用は無いとは言えません。医師の指示に従って治療薬を服用することで、後遺症や副作用は防ぐことができるので、くれぐれも自己判断で服用量を増やしたり、突然止めたりしないよう注意が必要です。

睡眠薬を飲む前にできることとは?

睡眠薬は医師の指示のもとで、適切な量・回数を守って服用すれば、一定の効果が得られるものです。ただし、すぐに睡眠薬に頼るのではなく、不眠やストレスの原因を取り除くことも大切となります。睡眠成分として大きな役割を果たすセロトニンの不足が不眠などの原因になっていることは、医学的にも解明されています。脳内のセロトニンを増やすことで不眠の解消が期待できるので、セロトニンの分泌を促すことがポイントになります。

例えば、サプリメントで睡眠障害を改善するというのもひとつの方法です。睡眠薬はできれば飲みたくないという人は、サプリメントをはじめ、質のよい睡眠を得るための対策を試してみるとよいと思います。

関連記事