自分に合う枕の高さは体格で決まる

枕選びには様々なポイントがありますが、思い込みによる枕選びは禁物です。
では、「自分に合う枕」を見つけるには、どこにどうこだわればよいのでしょうか。

枕不眠を訴えて整形外科を訪れたある患者さんからのお話です。
その方は、「私はいつもうつ伏せで寝るから、枕は低くしてほしい」というのです。
しかし、朝までずっとうつぶせで眠ることはありえないし、
そもそもうつぶせ状態は寝姿勢としてはとても不自然といわざるを得ません。
それにもかかわらず、うつぶせ寝になってしまうのはなぜなのか。
本当は枕が合わないために、上向きや横向きで寝るがつらいため、
仕方なくうつ伏せで寝ているということが考えられます。
枕が合わないために、うつぶせ寝や半うつぶせ寝、そして枕なしの状態に。
そうした姿勢でなければ睡眠を取れないから、やむを得なく選んだ寝姿勢なのに、
それを「自分の好みや癖」だと思い込んでいるケースが意外に多いんですね。

さて、うつぶせ寝の癖をはじめとして、不自然な寝姿勢をとっている人に有効なのは、快適な枕の高さを見つけることです。
それは、一人ひとりの体格によって決まります。

ある整形外科医が500人以上の患者さんの枕の高さを調整し、
「ちょうどいい」と判断した高さをまとめたデータによると、
身長と枕の高さの相関関係は、0.899という数値(ちなみに相関は-1~1の間で、1に近いほど高い関係です)が出ています。
身長が高くなればなるほど、枕も高くなったほうがいいのです。
さらに、それぞれの身長における平均体重を算出し、
その体重と枕の高さの関係を調べてみると、相関関係は0.948という高い値になりました。

つまり、適切な枕の高さは、身長体重と明確な相関関係にあるということ。
なので、枕を選ぶ時には、オーダメイドでも既成品でも、
好みよりも、まず第一に体格を念頭に置いて選ぶことが何よりも重要です。
好みばかりを優先してしまうと、気づかないうちに首や腰などに、
思わぬ負担をかけてしまうこともあるからです。

好みや感触で選んだ枕が気持ちいいのは、寝つくまでの数分から数十分間のこと。
実は、寝入ってから6時間も7時間も、枕の上で悪戦苦闘しているかもしれません。
だからこそ、自分の体格(身長、体重)に合った高さの枕を選ぶことが重要なのですね。

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